飼い主は強い心を持つこと

前回のポポの話をもう少し。

私が「もう少し毅然とした態度で降ろしてください」とお願いすると、「無理に降ろして、嫌われませんか?」と。なるほど、そんな心配があったんですね。ある意味、嫌われることをしないと「上ってはいけない」という学習をさせることができないので、理屈は合っています。しかし相手はトイプードルです。もう少し姐御風でなければいけない、ということで、再度私が手本をお見せすることにしました。

ポポが得意げにソファに乗ったので、低い声で「ダメ!と言い、首輪をつかんで降りるよう促します。ここで、単に降ろしてしまうのではなく、「降りるしかないように首輪を押さえる感じにする」のがポイントです。降りる、という選択をするのはあくまで犬自身でなくてはなりません。

首を押さえられたポポは、少し抵抗して暴れましたが、私の力の強さを感じると、すんなり降りました。そして降りた途端にブルブルと体を震わせました。これはカーミングシグナルと思われ、私がポポを降ろす際に多少のストレスがかかったと見られます。

つまり「ソファに乗ったら嫌なことが起きるよ」というメッセージは伝わったのです。降りたらすぐにほめてやると、とてもうれしそうに私に飛びつき、口元をなめてくれました。続けて「オスワリ」と指示をすると、素直にうれしそうに座ったので、おやつを与えました。

その後、ポポは私の足にちょこんと背中をくっつけて寝始めました。私からのメッセージは、しっりとポポに伝わったと実感しました。ポポは、安心して眠れる相手に私を選んだのです。

それを見た飼い主さんは、「私ではなく、先生のそばがいいのね。でも、わかる気がします」と言いました。そして「私も、先生といると安心できます。だから私も、ポポにとって先生のような存在になれるよう、息子のためにもがんばります!」。そう言ってくれました。

ポポの飼い主さんには、犬と正しい関係を築いてもらうため、子犬のためのベースプログラムをしっかりと実施してもらいました。

元気なポポの動きをコントロールするために、「オイデ」、「オスワリ」、「マテ」のトレーニングも、大好きなおやつを使って徹底的に行ってもらいました。とくに、いろいろな刺激があっても待てるようなトレーニングをお願いしました。その後しばらくして、飼い主さんからいただいたメールにはこうありました。

「ご指導いただいたおかげで、私も強くなれました。不思議なことに、私と息子の関係も良くなったんです。今ではポポがうなっても、『ウーツじゃないでしょっ!』つて叱れる自分がいます。毎晩泣きながらいとこに相談したり、先生にメールしていたことが嘘のようです」

その後反抗期に入ったポポは、それなりに言うことを聞かなくなったりもしたそうですが、飼い主さんは強い心を持ち続けてがんばってくれました。

それからさらに約半年後、「ポポが病に冒されていることがわかった」とのメールがありました。飼い主さんは、ポポには自分しかいない、ポポを守るために自分がもっと強くならなければならないと実感したそうです。

そしてメールは、こう締めくくられていました。「もう私はポポには負けません。そして、ポポの病にも絶対に負けません」